悲しい工女たち
各種紡績工場では工場内に警察官の派遣を依頼することが習慣となっていました。
そのため紡績会社と警察とは内通しており、時には親密な関係にあったので、商工局の問い合せに対して、警察は紡績会社の不利になるような事情を証言しなかったという事情もあったといわれていました。
ですから、「キヌイ」の件は傷を受けたという事実しか明確にされなかったわけです。
しかし、この例はまだよほど軽い虐待の例であることがつぎの事例から推測されるでしょう。
すなわち「其惨状想像ノ外二出デ之ヲ記スダニ身ノ毛モ逆堅ツバカリ」の状況が展開されていたからです。
原生的労働関係の実態を明白に告げる事例として2例を掲げておきます。
奈良県の例です。
明治34(1901)年10月24日、農商務省商工局は同11日『新大和』(第3074号)における報道記事に関して奈良県警察部に照会し回答を求めています。