悲しい工女たち 2
記事はおよそつぎのとおりです。
「憐ムヘキハ紡績工女、昨暁3時頃ナリトカ当市木辻派出所へ20アマリノ2人ノ女跣足ノ足元覚束ナクイトモ疲労タル体ニテ入リ来リ
恐レ入リマス我々2人ハ郡山紡績ノ職工デ御座リマスガ
其逆遇二堪へ兼ネテ夜中窃カニ寄舎ヲ抜ケ出タルモノ
大阪へ帰ラント思ヒタレド途モ分ラズ且ツ追手ノ為メニ捕ハルノ恐レアレバ
目的モナク無闇矢鱈ト歩ヒテ此処迄参リマシタガト泣カンバカリニ訴出デタレバ
兎二角本署二連行シテ相当ノ保護ヲ与へ昨日午後同紡績会社二通知シ
同会社ヨリハ工場長トヤラヲシテ居ル青木重ト云フ者来タリタルカ
青木ノ百万勧誘スルニ拘バラス
両人ノ女ハ例え飢テ死ヌトモ再ビ会社ニハ帰ラジトテ応ゼス
彼ノ男ハ詮方ナクシテ帰リタルガ」
(『職工事情』)
・・・その女たちの述べたつぎの事情からすれば帰りたがらない理由はあまりにも明らかでしょう。
2人の女たちは、兵庫県神崎郡の平民農大塚傅次郎長女オギン(20)及び山口県都濃郡岡崎清太郎二女オヒサ(21)でした。
両人とも20日程前に入社しました。
オヒサは以前他の紡績会社で仕事をした経験がありました。