悲しい工女たち 4
同会社の女工取締楠佐太郎(27)が、女工を殴打して検事局に送られたといいますが、さらに他の実状は推測出来るところです。
郡山署のある巡査の如きは、会社に内通しています。
現にオギン、オヒサの両人は、巡査と取り締りの人等が常に女工に向って、巡査とは同腹だから訴えても無駄だといっていたという話もしています。
そこで、同記事を記している新聞記者は、「記者はこれを信じないというわけではないが、監督の参考のために敢えて記事にしておく」と断って記しています。
オギン、オヒサの両人は、寄宿舎に着物5、6点を置いたままですが、命にはかえられないので取りに帰らないといいます。
無一文ではどうすることもできません。
午後3時頃、少々ではありますが奈良署員の情義金を貰い涙を流して喜びながら、大阪方面に発っていきました。
奈良署ではもしや会社の者等が道に待ち伏せしてはいないかと1里余り向こうまで巡査をつけて送らせたことは至れり尽せりでした。
・・・と記者は締め括っています。
この記事に対しても、奈良県警察部の回答は女工側に不利な内容のものでした。
つまり、大塚ギンは元神戸の在で某外国人の妾であり、紡績の経験のないものです。